ギャラリー

室生村福祉保健交流センター ぬく森の郷

設計趣旨

歴史と文化に支えられた山里である室生村は、水墨画のようにしっとりとした趣がある。
敷地は赤目青山国定公園内あり、室生ダム湖が隣接し、山々の稜線が美しく見える高台にある。周辺は運動公園など村の中心的な遊びゾーンの一部となっている。
この地で21世紀へ向けて、次世代への伝統・文化・交流の発信基地として生まれたこの施設は、室生の「文化」をテーマに「風と匂いと時の流れ」をキーワードとして構成している。
土地の秩序に合わせるべくボリュームを抑え、方向を持たせた4枚のの屋根は躍動感と未来性を高めている。外観は室生の自然と対等に協調出来る素材を選び、深みのある色相・質感・形態で“歴史と文化の重み”を表現した。
玄関ホールは、水の流れをイメージしたガラスの箱で内部と外部が浸透しあう空間とし、人々が交流するこのホールを潤している。この空間に浮遊するモニュメントも対話を楽しんでいるようだ。
施設は、福祉、保健、交流のゾーンからなり、各ゾーンの交わるポイントに光庭を設け、人間の営みや室生の風情を小宇宙化した空間にまとめている。
小高い丘から静思した時、新文化が飛立とうとしていた。

所在地奈良県宇陀郡室生村(現:宇陀市室生)
用途保健福祉施設
建築主室生村
構造・規模RC造 地上1階・地下1階 延床面積2,231平方メートル
竣工1997年09月
備考第25回建築士事務所全国大会 優秀賞