ギャラリー

東吉野村庁舎及び住民ホール

設計趣旨

吉野川の上流点である東吉野村は奈良県の東部に位置し、人口3,700人余りの水と緑の豊かな山村である。また、森林面積が村域の80%以上を占め、全国的に有名な吉野杉、吉野檜の中心的産地でもある。
建物は敷地形状に合わせてR状の形態を取り入れ、川の流れのように自然と調和し親しみが持てる圧迫感のないイメージを創造した。
現地地盤を生かした高低差を利用して、川からの増水等も考慮したピロティ方式の地下1階を職員用駐車場とし、正面からは3層、川側からは4層の断面構成とした。
自然環境の中での空間づくりを意識すべく、川側にR状の執務空間を配置し、わかりやすい平面計画と快適な執務環境づくりに努め、窓を大開口の全面ガラス貼とすることで対岸道路からすべての室が見え、開かれた庁舎にふさわしい、明るい表情を出すことができた。
共用部分はゆとりある空間とし、住民サービスにつなげるとともに、内部から見るR状のラインは直線的な感覚とは違ったやわらかな雰囲気を創りだしている。
内装は、地場産業のPRからも、可能な限り地元木材を使用し、とくに壁とカウンターは杉と檜のムク材により、地元ならではの仕上りとしている。
新庁舎は自然環境の中、地形を生かし、自然な姿で表情を出し、新たな村の「顔」としての象徴性を追求した。

所在地奈良県吉野郡東吉野村
用途庁舎・ホール
建築主東吉野村
構造・規模RC造 一部S造 地上3階・地下1階 延床面積4,618平方メートル
竣工1997年03月
備考第23回建築士事務所全国大会 奨励賞