宇陀市立菟田野こども園
設計趣旨
【みんなのおうち】
当該地は宇陀市菟田野古市場地区を見下ろす、四方が緑に囲まれた菟田野小学校の一角をこども園用地として計画された。
『こどもの育ちと子育て「教育・保育」の支援拠点』、『地域全体で子ども達を育む環境の拠点』という、うたのこども園整備の基本方針の基、丘の上に立つ一体的な敷地として、現小学校の特徴を継承し、幼保小の連携を図ることが求められた。
深い庇と鎧張りを模した外壁は、水平ラインを強調することで小学校のデザインを継承し、この事は高さ感を抑えることにも繋がり、「おうち感」も出せる様になった。
園庭は運動場と直接行き来ができる配置とし、お互いの存在を常に意識することにより
幼保小の連携を図りやすくした。
また、こども達が園舎を見上げた際、目に入る軒裏には宇陀市産の板を張った。
これは半屋外から内部へとつづく、木材で構成された空間の連続性を持たせ、地元産材の木のぬくもりも感じられる様にしている。
内装は日本の伝統色から選んだ廊下の塗り壁、地元産材を使い加工した床板、無垢の天井板、壁板、格子等で構成し、天然木の色合いが空間とその表情をも和らげてくれている。
設計のスタートから3年半、途中紆余曲折がありながらも完成の日を見たことは感慨深いものがある。この園舎が普段のお家での生活の延長戦上のように、もうひとつの住み家かとして、「みんなのおうち」で暮らしているかのような安心感を与え、そして継承されていくことを願う。
所在地 | 奈良県宇陀市菟田野古市場 |
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用途 | 幼保連携型認定こども園 |
建築主 | 宇陀市 |
構造・規模 | 鉄骨造・地上2階建て・延床面積997.50㎡ |
竣工 | 2020年07月 |