會津(愛’S)保育園
設計趣旨
当施設の敷地が持つ特徴として、南東方向に遠くの山並みや田園風景が広がる一方、北・西方向には鉄道が隣接し、その奥に病院や事務所ビルなどが立ち並び、鉄道を境に風景や環境が極端に異なることろが挙げられる。
このような条件を考慮し、線路沿いに敷地を擁護するかたちで廊下を設け保育室の騒音・振動対策を計り環境を充実させると共に、機能と形態の両立を図った。 鉄道側の外壁には小さな空間(デン)を設け、そこに設けた小さな窓からは電車を眺めることもでき、園児たちのかくれんぼや基地などの利用方法を創造させる場所として期待した。またそこから差し込む色とりどりの光は変化のある楽しい空間を演出する。 鉄道側からの外観は、この小さな空間を規則的に配置して細長く線路に平行する形状から電車のイメージを重ね合わせ、また対峙しながらその印象的な形が施設の存在感を高め、対外的なPR効果を期待した。
また、園児たちの生活母体となる保育室ゾーンは眺めの良い南面に大きな開口部を設けることで開放性を確保し、分節化したボリュームを雁行させて配置することで、子供たちが自分たちの「いえ」を連想できる構成とした。
2階の保育室前にルーフデッキを設け、屋外広場(園庭)を介して1階の保育室前に設けたデッキテラス(縁側デッキ)と連続し、施設の動線に周遊性を持たせて外部との積極的な関りを期待した。 この施設が園児たちにとって、「明るく木のぬくもりのある『夢の国』」となることを願う。
所在地 | 奈良市八条 |
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用途 | 児童福祉施設等(保育所) |
建築主 | 社会福祉法人バルツァ事業会 |
構造・規模 | RC造 一部S造 地上2階 延床面積1,354.89平方メートル |
竣工 | 2006年05月 |