ギャラリー

大塔村郷土館

設計趣旨

奈良盆地の南方、吉野山地の奥深く、山紫水明の地、十津川渓流の畔に立地する大塔村は、平安朝の昔より、大峰・高野文化の影響を色濃く受け、民族性豊かな桃源郷として知られ、南北朝時代の大塔宮護良親王の史実や明治維新の胎動となった天誅組の義挙は、この地を舞台に歴史を彩ったことでよく知られている。
近年では猿谷ダムの建設とともに現代の文明が流入し、自然環境や生活形態も大きく変化し、さらに、過疎化の進展とともに新しい問題も深刻さを増してきている。
こうした時代にあって、いまこそ大塔村の文化と歴史、自然と暮らし、人情と民俗を理解し、21世紀の未来を語るにふさわしい、大塔村の健全な発展の礎ともなる「郷土館」を計画した。
施設は、茅葺き屋根に土塗壁が特徴的で、内部には「かまど」や「囲炉裏」、それに地面を穴を掘り、芋などを貯蔵しておく「芋床」などがある郷土館(主屋)と、土蔵造りで瓦葺き屋根、漆喰壁の建物で、内部にジオラマの展示や村内から収集された民具などが展示される展示館(蔵)と、瓦葺き屋根で板壁、内部では大塔村独自の「しゃくし」制作の実演が行われる納屋(木地師の館)の3棟により構成され、これらは、村史を参考に復元したものである。
山家の暮らしは、心優しく語りかけ、風情が溢れている。日本の原風景が見える思いがした。

所在地奈良県吉野郡大塔村
用途郷土館
建築主大塔村
構造・規模木造 地上1階 延床面積309平方メートル
竣工2000年03月